2008年12月22日
Natural Action-冬「僕たちは森にいます」…4
Natural Action-冬
「僕たちは森にいます」…4
前シリーズはこちらから
↓
「僕たちは森にいます」…1
「僕たちは森にいます」…2
「僕たちは森にいます」…3
段々と「僕らが森にいる理由」に近付いてきたと思います。
前回のポイントは
・国土の40%に当たる杉・ヒノキの人工林を健全に保つには人の手による管理が必要
・しかし、森の働き手が経済原理によって減り続けている
ということでした。
今回は、森の荒廃の原因とその背景について話を進めさせていただきます。
さて、前回の最後の問いは
「なぜ人はそんなに手が掛る人工林を作ってきたのでしょう?」でした。
昔々は、薪や備長炭でおなじみの木炭の原料になり、
建築木材に使用しやすい杉ヒノキを裏庭の畑を管理する感覚で、
植え、間伐し、育て、切り、使い、循環させていました。
スギ、ヒノキなどの針葉樹は、植えやすく、
成長が早い上に育つとまっすぐな木材として利用でき、
自然災害も防いでくれるため、盛んに植えられてきたのです。
まさに大規模な「畑」のようなですね。
今、花粉症がエスカレートしていますが、
花粉を吐き出している木は、同時期に大規模に戦後に植えられたものです。
復興に対して建築木材が必要だったのです。
日本の林業の歴史は古いのですが、今、花粉を飛散させている人工林は、
短期的に、緊急的に国を挙げての事業として造られたものです。
一斉に大きくなり、花粉を出す時期が今に重なっているのかもしれません。
もしくは、木々が生命的な危機を感じ、
子孫を残すべく大量の花粉を出しているのかもしれません。
適切に間伐がなされ、循環の中で維持されてきた森には、
若い木や、古い木が混在し、今のような花粉の飛散はなかったのかもしれません。
戦後の一斉植樹は国の政策によって舵取りされてきました。
しかし、高度経済成長を経て、日本の経済力が増し、
日本製品が跳ぶように売れるようになった頃、貿易黒字の問題が発生します。
農業分野においては、国は減反政策で米の生産縮小に乗り出し、
外圧に負け、牛肉・オレンジの輸入を解禁。
残念ながら国内の農業従事者に対する冷たい政策が続いていきます。
経済力の飛躍は、人件費の安い国からの輸入に時代のトレンドが移ります。
つまり、経済の問題です。
そして、国の第一次産業の冷遇の結果とも言い換えられるかもしれません。
一つの数字を紹介します。
国産材の自給率(日本で消費される木材に占める国産材の比率)は
どれくらいだと思いますか?
ちなみに食料のカロリーベースの自給率は39%です。
答えは、20%!!
国内に木があるのに、20%という数字です。
日本の恵まれた国土には、多くの山林資源があります。
問題なのは、山林が豊富にある国なのに、
経済原理のセオリーに沿い、外国から安価な木材を持ってくる事なのです。
経済の問題で自然環境を蔑ろにしてきた時代は、もう長くは続かないと思っています。
経済の問題で、森を維持、つまり環境の維持を担う働き手が姿を消そうとしています。
人工林の手入れである間伐を促すため、森に働き手を呼び戻すために、
それが少々割高であろうと、地産地消にこだわり国産材に目を向けて欲しいと思います。
戦後植えられた木が一斉に間伐が必要な時期に来ているのに、
森での働き手がいない。
戦後国の政策として、先人の多大な労力、莫大な資金の投資が無駄になってしまうのです。
森が荒れ果ててしまうのです。
戦後、車や重機が無い時代に、
自分の足だけで山の急斜面を何度も何度も登り、下り、
手道具だけで森を作ってきた人たちの汗と労力に敬意をはらい、
無駄にしたくないという気持ちや、
放置されている木も、そんな先人の想いも非常にもったいないと、
僕達は考えています。
木に目を向けて見ましょう。
違う角度から環境問題を見ることが出来るかもしれません。
もう一度。
健全な森は、水も浄化します。
健全な森は、生命を育みます。
健全な森が、僕達の精神情緒に与えてくれている恩恵を思い出してください。
僕達の生まれた、この日本の森を、脈々と受け継がれてきた文化を
誰かが継承し伝えていかなければと思います。
そんな想いから、僕たちNatural Actionの素人集団は山に入る事になったわけです。
自分たちの手で少しでも環境に貢献する。
僕たちが間伐した森でゆっくりと濾過されたきれいな水は、
稲瀬川となり、ラフティングのフィールドとなる富士川に注ぎ入ります。
そして駿河湾で待っている魚や海草たちにも栄養を届けます。
この土地の水や森がいつまでもきれいであってほしいと願いつつ、
冬の間は、慣れない森の仕事ですが楽しみながら取り組んでいこうと思います。
次回は、僕達のひそかな計画をお伝えします。
長くなりましたが、今日も最後まで読んでくださり、有難うございました。
=================================
WE CONNECT YOU AND NATURE
自然と人の平和的な繋がりを創造し、より多くの幸せに貢献する
NATURAL ACTION General Store
http://na-gs.jp/
=================================
「僕たちは森にいます」…4
前シリーズはこちらから
↓
「僕たちは森にいます」…1
「僕たちは森にいます」…2
「僕たちは森にいます」…3
段々と「僕らが森にいる理由」に近付いてきたと思います。
前回のポイントは
・国土の40%に当たる杉・ヒノキの人工林を健全に保つには人の手による管理が必要
・しかし、森の働き手が経済原理によって減り続けている
ということでした。
今回は、森の荒廃の原因とその背景について話を進めさせていただきます。
さて、前回の最後の問いは
「なぜ人はそんなに手が掛る人工林を作ってきたのでしょう?」でした。
昔々は、薪や備長炭でおなじみの木炭の原料になり、
建築木材に使用しやすい杉ヒノキを裏庭の畑を管理する感覚で、
植え、間伐し、育て、切り、使い、循環させていました。
スギ、ヒノキなどの針葉樹は、植えやすく、
成長が早い上に育つとまっすぐな木材として利用でき、
自然災害も防いでくれるため、盛んに植えられてきたのです。
まさに大規模な「畑」のようなですね。
今、花粉症がエスカレートしていますが、
花粉を吐き出している木は、同時期に大規模に戦後に植えられたものです。
復興に対して建築木材が必要だったのです。
日本の林業の歴史は古いのですが、今、花粉を飛散させている人工林は、
短期的に、緊急的に国を挙げての事業として造られたものです。
一斉に大きくなり、花粉を出す時期が今に重なっているのかもしれません。
もしくは、木々が生命的な危機を感じ、
子孫を残すべく大量の花粉を出しているのかもしれません。
適切に間伐がなされ、循環の中で維持されてきた森には、
若い木や、古い木が混在し、今のような花粉の飛散はなかったのかもしれません。
戦後の一斉植樹は国の政策によって舵取りされてきました。
しかし、高度経済成長を経て、日本の経済力が増し、
日本製品が跳ぶように売れるようになった頃、貿易黒字の問題が発生します。
農業分野においては、国は減反政策で米の生産縮小に乗り出し、
外圧に負け、牛肉・オレンジの輸入を解禁。
残念ながら国内の農業従事者に対する冷たい政策が続いていきます。
経済力の飛躍は、人件費の安い国からの輸入に時代のトレンドが移ります。
つまり、経済の問題です。
そして、国の第一次産業の冷遇の結果とも言い換えられるかもしれません。
一つの数字を紹介します。
国産材の自給率(日本で消費される木材に占める国産材の比率)は
どれくらいだと思いますか?
ちなみに食料のカロリーベースの自給率は39%です。
答えは、20%!!
国内に木があるのに、20%という数字です。
日本の恵まれた国土には、多くの山林資源があります。
問題なのは、山林が豊富にある国なのに、
経済原理のセオリーに沿い、外国から安価な木材を持ってくる事なのです。
経済の問題で自然環境を蔑ろにしてきた時代は、もう長くは続かないと思っています。
経済の問題で、森を維持、つまり環境の維持を担う働き手が姿を消そうとしています。
人工林の手入れである間伐を促すため、森に働き手を呼び戻すために、
それが少々割高であろうと、地産地消にこだわり国産材に目を向けて欲しいと思います。
戦後植えられた木が一斉に間伐が必要な時期に来ているのに、
森での働き手がいない。
戦後国の政策として、先人の多大な労力、莫大な資金の投資が無駄になってしまうのです。
森が荒れ果ててしまうのです。
戦後、車や重機が無い時代に、
自分の足だけで山の急斜面を何度も何度も登り、下り、
手道具だけで森を作ってきた人たちの汗と労力に敬意をはらい、
無駄にしたくないという気持ちや、
放置されている木も、そんな先人の想いも非常にもったいないと、
僕達は考えています。
木に目を向けて見ましょう。
違う角度から環境問題を見ることが出来るかもしれません。
もう一度。
健全な森は、水も浄化します。
健全な森は、生命を育みます。
健全な森が、僕達の精神情緒に与えてくれている恩恵を思い出してください。
僕達の生まれた、この日本の森を、脈々と受け継がれてきた文化を
誰かが継承し伝えていかなければと思います。
そんな想いから、僕たちNatural Actionの素人集団は山に入る事になったわけです。
自分たちの手で少しでも環境に貢献する。
僕たちが間伐した森でゆっくりと濾過されたきれいな水は、
稲瀬川となり、ラフティングのフィールドとなる富士川に注ぎ入ります。
そして駿河湾で待っている魚や海草たちにも栄養を届けます。
この土地の水や森がいつまでもきれいであってほしいと願いつつ、
冬の間は、慣れない森の仕事ですが楽しみながら取り組んでいこうと思います。
次回は、僕達のひそかな計画をお伝えします。
長くなりましたが、今日も最後まで読んでくださり、有難うございました。
=================================
WE CONNECT YOU AND NATURE
自然と人の平和的な繋がりを創造し、より多くの幸せに貢献する
NATURAL ACTION General Store
http://na-gs.jp/
=================================
Posted by NATURAL ACTION GENERAL STORE at 21:56│Comments(2)
│森の話
この記事へのコメント
う~~ん実感ですね
そのとおりです~~
微力ながら天城の森林でがんばります
そのとおりです~~
微力ながら天城の森林でがんばります
Posted by タパ at 2008年12月22日 22:11
タパさん
コメント有難うございます!!
「森」シリーズ初めてのコメントに
めちゃくちゃ感動してしまいました!!
自然環境や第一次産業の回復のため、
お互い頑張りましょう。
タパさん、また遊びに来てくださいね。
Toyo
コメント有難うございます!!
「森」シリーズ初めてのコメントに
めちゃくちゃ感動してしまいました!!
自然環境や第一次産業の回復のため、
お互い頑張りましょう。
タパさん、また遊びに来てくださいね。
Toyo
Posted by 富士川船頭組合 at 2008年12月22日 22:32